健康事業のPoCで最初に検証すべき6つの仮説

健康領域で新しい商品やサービスを考えると、「まずサービスをつくって試してみよう」「モニターを集めてアンケートを取ろう」と考えることがあります。しかし、何を確かめたいのかが曖昧なままPoCを行っても、「反応は悪くなかった」「満足度は高かった」という結果だけが残り、次の事業判断につながらないことがあります。
健康事業で重要なのは、大きくつくる前に小さく試すこと。そして、それ以上に「何を検証すれば、この事業を次へ進める判断ができるのか」を決めることです。
本記事では、食・健康領域の新規事業でMy Landが重要だと考える検証の順番と、課題設定からPoC・本実装まで、My Landが企業とどのように共創できるのかを整理します。
健康事業でPoCが企業様の課題になっている背景
食・健康領域の事業では、専門性、生活者の行動、商品・サービスの使いやすさ、販売方法、継続性など、複数の要素が関係します。机上では良さそうに見えるアイデアでも、生活者の日常の中では使われなかったり、想定していた課題そのものが存在しなかったりすることがあります。
だからこそ、最初から大規模な商品開発やサービス構築を行うのではなく、小さな実証を通じて仮説を確かめるPoCが重要です。
一方、企業様から健康事業についてご相談をいただく中では、「PoCをやりたい」という話から始まっても、掘り下げてみると、そもそも対象者や解決したい課題、検証したい仮説が整理されていない場合があります。
PoCは実施すること自体が成果ではありません。次の投資・改善・撤退を判断するための材料を得ることが本来の役割です。
「とりあえず試してみる」だけでは十分ではない理由
1.解決すべき課題が曖昧なまま検証している
商品やサービスのアイデアからスタートすると、「このサービスは使われるか」「この商品は好まれるか」という検証になりがちです。
しかし、その前に確認したいのは、「そのサービスで解決しようとしている課題は、本当に生活者が困っていることなのか」です。
課題仮説がずれていれば、サービスの完成度をいくら高めても利用にはつながりません。
2.満足度だけを成果にしてしまう
モニター後に「良かった」「満足した」という回答が得られても、それだけでは継続利用や購入につながるかは分かりません。
健康事業として成立させるためには、利用したか、行動が変わったか、続けたか、購入したか、再利用したいと思ったかなど、その先の行動を見る必要があります。
3.一度に多くのことを確かめようとしてしまう
商品、価格、訴求、サービス内容、専門家の関わり方などを一度に変えてしまうと、何が結果に影響したのか分からなくなります。
PoCでは完成度を競うのではなく、「今回、何を確かめるのか」を絞ることが重要です。
4.専門家の役割が「実施担当」だけになっている
健康事業では、専門家に相談対応やコンテンツ制作、監修を依頼することがあります。
しかし、本来の専門性はそれだけではありません。対象者の課題をどう捉えるか、どのような変化を測るべきか、結果をどう解釈するかという、PoCの設計・検証段階にも活かすことができます。
5.PoC後の意思決定が決まっていない
結果が良ければ何をするのか。想定を下回れば何を見直すのか。どの数値を超えれば本実装へ進むのか。
これらを事前に決めていなければ、結果が出てから都合よく解釈してしまいます。「成功するPoC」ではなく、「判断できるPoC」を設計することが重要です。
My Landが考える健康事業PoCの本質
My Landでは、PoCを「小規模版の本番」とは考えていません。
PoCは、社会課題や生活者課題について立てた仮説を小さく確かめ、次の意思決定に必要な情報を得るためのものです。
そのため、いきなり「何を実施するか」を考えるのではなく、次の順番で整理します。

- 課題仮説:本当に解決すべき課題なのか
- 対象者仮説:誰にとって特に大きな課題なのか
- 価値仮説:提案する価値は必要とされるのか
- 行動仮説:生活者の選択・利用・継続につながるのか
- 事業仮説:企業様にとって継続する価値があるのか
- 実装仮説:実際の商品・サービス・店舗・職場などで運用できるのか
そして、My Landが重視しているのは「生活者に良い変化が起きること」と「企業様が事業として続けられること」の両方を検証することです。
生活者にとって価値があっても企業様が継続できなければ、社会には残りません。逆に売上だけが生まれても、解決したかった健康課題につながっていなければ、本来目指していた事業から離れていきます。
生活者価値と企業価値が重なる場所を探すことが、健康事業のPoCでは重要だと考えています。
企業様が健康事業を進める際に考えたいポイント
1.最初に「誰の何を変えるのか」を定義する
「健康を良くする」「食生活を改善する」では広すぎます。
誰が、どのような生活をしていて、どんな場面で困っているのか。その状態がどう変われば価値があるのかまで定義します。
ここが明確になることで、必要な商品・サービス、専門家、検証方法も決めやすくなります。
2.今、一番分かっていないことを見つける
PoCでは、分かっていることを証明するのではなく、事業の成否を左右する不確実性を減らす必要があります。
「本当にニーズがあるのか」「この方法なら続けられるのか」「この価格で選ばれるのか」「専門家が関わることで価値が高まるのか」。最も大きな不確実性を特定し、それを検証します。
3.生活者の声を企画前にも入れる
完成した商品やサービスを評価してもらうだけではなく、企画前のインタビューや調査も重要です。
企業様と専門家だけで考えていると、「きっと困っているはず」という仮説が先行することがあります。生活者が現在どのように対処しているのか、何に不満を感じているのかを知ることで、課題そのものを修正できます。
4.必要な専門性・共創相手を整理する
健康事業だからといって、必要なのが管理栄養士だけとは限りません。
課題によっては、医療職、研究者、食品メーカー、地域、IT、クリエイター、販売現場など、複数の専門性が必要になることがあります。
重要なのは「誰を起用するか」から考えるのではなく、解決したい課題から逆算して必要な役割を編成することです。
5.事業KPIと生活者の変化を両方設定する
利用率、購入率、継続率などの事業指標と、理解、行動、満足、生活上の変化などの生活者側の指標を整理します。
どちらか一方ではなく、両方が改善するモデルを探すことで、社会的な価値と事業価値を両立しやすくなります。
6.「続ける・変える・やめる」の基準を先に決める
PoC実施前に、どの結果なら本実装へ進むのか、どの場合は改善するのか、どこまで悪ければ事業仮説そのものを見直すのかを決めます。
PoCの成功は「良い結果を出すこと」ではありません。事業について一つ判断できることです。
My Landが健康事業のPoCでできること
My Landは、決められたPoCへ管理栄養士を派遣するだけの会社ではありません。
企業様が「健康領域でこんなことをしたい」と考え始めた段階から、生活者課題と事業課題を整理し、必要な専門性や共創相手を編成しながら、実証から改善までを設計します。

1.課題設定・事業仮説の整理
企業が持つ商品、技術、素材、サービスありきで施策を考える前に、「誰のどのような課題を変えるのか」を整理します。
ヒアリング、既存情報の整理、生活者視点、専門家視点などから、PoCで検証すべき問いを明確にします。
2.生活者調査・インサイトの収集
アンケート、インタビュー、座談会、モニターなどを通じて、生活者が実際に感じている課題や商品・サービスへの反応を確認します。
「企業が考えている課題」と「生活者が感じている課題」にズレがないかを検証し、企画へ反映します。
3.専門家・共創パートナーの編成
課題に応じて、管理栄養士をはじめとする食・健康の専門家を選定します。
単に人を紹介するのではなく、課題設定、商品・サービス設計、生活者コミュニケーション、検証など、それぞれの専門性をどこで活かすかまで役割を設計します。
4.PoCの企画・検証設計
何を試し、誰を対象にし、何を測り、どの結果なら次へ進むのかを整理します。
必要以上に大きなPoCを行うのではなく、事業判断に必要な最小限の実証方法を設計します。
5.PoCの実施・プロジェクトマネジメント
企業、専門家、生活者など複数の関係者が参加するPoCでは、役割分担、スケジュール、品質管理などのプロジェクト設計も必要です。
My Landが間に入り、それぞれの専門性や役割をつなぎながら実施を進めます。
6.成果分析・改善・本実装への接続
PoCの実施結果を「良かった・悪かった」で終わらせず、どの仮説が確認できたのか、何を変更すべきなのかを整理します。結果をもとに商品・サービス・訴求・専門家の関わり方などを改善し、本実装や次の検証へつなげます。
My Landが目指しているのは、PoCを1回実施して終了することではありません。「課題を見つける → 小さく試す → 成果を測る → 改善する → 日常の接点へ実装する」という循環を企業とつくり、その知見を次の事業へ蓄積していくことです。
例えば新しい健康サービスを検討する場合
仮に、企業が「働く人の食生活を支援するオンラインサービス」を考えているとします。この場合、いきなりアプリを開発したり、管理栄養士による相談サービスを始めたりする必要はありません。
My Landであれば、まず対象となる生活者へのヒアリングなどから、「何に困っているのか」「現在どう対処しているのか」「どんな支援なら利用したいのか」を整理します。その上で、例えば既存ツールを使った簡易的な支援を一定期間実施し、利用率、継続率、行動の変化、満足度などを検証します。
同時に、企業側では運用負荷、費用、既存サービスとの親和性、継続した場合の事業価値なども確認します。
そこで価値が確認できれば、対象者を広げたり、サービス内容を改善したり、システム開発へ進んだりすることができます。「まず小さくつくる」のではなく、「まず小さく学び、次の投資判断ができる状態をつくる」。これがMy Landが考えるPoCです。
My Landが目指していること
My Landが目指しているのは、食と健康の専門性が暮らしの中に自然に存在する社会です。
しかし、そのためには専門家を増やすだけでも、健康サービスを増やすだけでも十分ではありません。
企業様が持つ商品、サービス、店舗、職場、EC、地域など、すでに生活者が日常的に接している場所へ専門性を組み込み、それが生活者にとって価値があり、企業にとっても継続できる事業として成立する必要があります。
My Landは、その間に立って専門家を紹介するだけではなく、社会課題・生活者課題を整理し、企業様・専門家・生活者をつなぎ、小さく実証し、成果を検証し、実際の事業や日常の接点へ実装していく役割を担いたいと考えています。
一つひとつのPoCを単発で終わらせず、そこで得た生活者インサイト、成果データ、専門家の知見を次の事業へつなげる。それを繰り返すことで、健康な時から必要な専門性に自然に触れられる「健康インフラ」を増やしていきます。
まとめ
健康事業のPoCで重要なのは、「何かを試すこと」ではなく、「次の意思決定のために何を確かめるのか」を決めることです。
そのためには、生活者課題の設定、最も不確かな仮説の特定、生活者の声、専門家の役割、企業の事業価値、成果指標まで一つの流れとして設計する必要があります。
そして、PoCで得られた結果を本実装や次の改善へつなげて初めて、検証は事業の資産になります。
健康領域の新規事業を検討している企業様は、「何をつくるか」を決める前に、まず「この事業で今、何が分かっていないのか」から考えてみてください。
健康事業の構想・課題設定・PoC設計からご相談いただけます
My Landでは、専門家のキャスティングだけでなく、健康事業の構想段階からご相談いただけます。
生活者課題の整理、調査、専門家・共創パートナーの編成、商品・サービス企画、PoC設計、モニター・実証、成果検証、改善、本実装まで、企業の状況に合わせて必要な部分を設計します。
「健康領域で新規事業を考えているが、まだ具体的なサービスが決まっていない」「PoCをしたいが、何を検証すべきか分からない」「専門家を入れたいが、どの段階で何を相談すればよいか分からない」といった段階でも構いません。
最初から大きくつくるのではなく、何を確かめるべきかを整理し、小さな実証から事業として成立するモデルを一緒につくっていきます。







