食・健康の専門性を事業価値へ変える「専門家共創」とは

食・健康領域の商品やサービスを企画する際、「管理栄養士に監修してもらおう」「専門家のコメントを入れよう」と考える企業様は少なくありません。しかし、専門家が関わったという事実だけで、生活者の行動が変わり、商品が選ばれ、事業が成長するとは限りません。では、専門性はどの段階から、どのように事業へ取り入れるべきなのでしょうか。本記事では、My Landが考える「専門性を事業価値へ変える共創設計」について解説します。
専門家活用が企業様の課題になっている背景
健康への関心が高まる一方、生活者の周囲には食や健康に関する情報があふれています。企業様にとっても、「健康によい」というだけでは商品の違いや価値を伝えにくくなっています。
そこで管理栄養士をはじめとする専門家の知見を商品開発、情報発信、監修、調査などへ取り入れる動きが生まれます。しかし実際には、「専門家に何を相談すればよいのか分からない」「監修を依頼したものの、その先の事業成果につながらない」といったことも起こります。
私たちは、この背景には企業様と専門家の間にある「専門性を事業へ翻訳する機能の不足」があると考えています。
専門家には専門知識があります。一方、企業様には商品、サービス、技術、ブランド、店舗、EC、職場など、生活者へ価値を届ける接点があります。この2つを単純につなぐだけではなく、生活者の課題を起点として再設計することが必要です。
「専門家に監修してもらう」だけでは十分ではない理由
1.専門家の起用そのものが目的になってしまう
「管理栄養士監修」「専門家コメント」といった形は、専門性を取り入れる方法の一つです。しかし、「専門家に関わってもらうこと」がゴールになってしまうと、その専門性によって何を変えたいのかが曖昧になります。
大切なのは、専門家を起用したかどうかではなく、その専門性によって生活者の判断、行動、体験をどう変えるのかです。
2.依頼内容が決まってから専門家へ相談している
商品やサービスの方向性がほぼ決まった後で、「最後に専門家に確認してほしい」と相談されるケースもあります。この方法では、専門家が持つ生活者理解や専門的な視点を十分に活かしきれません。
専門性の価値は、完成したものをチェックすることだけにあるのではありません。どの課題を解決するのか、どんな商品体験にするのかという上流工程にも活かすことができます。
3.「正しい情報を伝える」ことで終わってしまう
健康に関する情報は、正確であることが大前提です。しかし、正しい情報を届ければ必ず人が行動するわけではありません。
生活者には、忙しさ、費用、好み、家族構成、生活環境などさまざまな事情があります。だからこそ、「正しいか」に加え、「選びやすいか」「続けられるか」「自分に関係があると感じられるか」という視点が必要になります。
4.成果の定義が「納品」で終わっている
記事を何本制作したか、レシピを何品開発したか、イベントを何回開催したか。これらは実施量を確認する指標にはなりますが、本来の成果とは限りません。
利用率、購買、継続、理解、行動変容、満足度など、事業によって生み出したい変化まで設計することで、専門性は「制作物」ではなく「事業価値」へ変わっていきます。
My Landが考える専門家共創の本質

My Landでは、専門家を「依頼された作業を行う人」とは考えていません。専門家は、企業様や生活者とともに課題を考え、解決策をつくる共創者です。
そしてMy Landの役割も、企業様へ専門家を紹介することではありません。
私たちが設計したいのは、次の3つの価値が重なる状態です。
- 生活者価値:より良い判断や行動ができ、暮らしや人生がより良くなる
- 企業価値:商品・サービスの価値向上、選ばれる理由、事業成果につながる
- 専門家価値:専門性が適切に活かされ、評価され、社会へ実装される
この3つのうち、どれか一つだけを最大化しても、持続する仕組みにはなりにくいと考えています。
企業様の商品やサービス、顧客接点と、専門家の知見、そして生活者のリアルな課題を掛け合わせながら、小さく試し、検証し、改善する。そこで成果が確認できれば、商品、店舗、地域、職場、ECなど別の接点へ広げていく。
つまり専門家共創とは、「専門家と何を作るか」ではなく、「誰のどんな課題を、企業様が持つ接点と専門性を掛け合わせて解決するか」から設計することだと考えています。
企業が専門家との共創を進める際に考えたいポイント

1.最初に「誰の何を変えたいのか」を決める
「管理栄養士を起用したい」から始めるのではなく、まず考えたいのは生活者です。誰が、どんな場面で、何に困っているのか。その結果、どんな状態をつくりたいのかを明確にします。
商品開発であっても、情報発信であっても、この課題設定が変われば必要な専門家も施策も変わります。
2.専門家が参画する目的を明確にする
エビデンス確認なのか、生活者視点の商品評価なのか、企画開発なのか、情報設計なのか、行動変容支援なのか。目的によって求められる専門性や経験は異なります。
資格だけで人を選ぶのではなく、「今回の課題を解くためにどんな視点が必要なのか」から専門家を考えることが重要です。
3.完成後ではなく、できるだけ上流から共創する
専門家は監修だけをする存在ではありません。生活者の課題発見、商品コンセプト、サービス設計、顧客体験、評価項目、PoCなど、事業の上流から参画できる可能性があります。
専門性を早い段階から取り入れるほど、後から修正するのではなく、最初から健康価値を組み込んだ事業設計がしやすくなります。
4.企業がすでに持っている接点を見直す
新しい健康サービスをゼロから立ち上げることだけが社会実装ではありません。
商品パッケージ、ECサイト、公式LINE、店舗、社員向け施策、会員サービス、イベント、地域との接点など、企業はすでに生活者との多くの接点を持っています。その中に専門性を自然に組み込めないかを考えることも、一つの方法です。
5.小さく試し、成果を確認する
最初から大きな事業にする必要はありません。限定的な対象者へのヒアリング、モニター、座談会、小規模なPoCなどから始めることで、仮説を検証できます。
My Landでは、実施して終わるのではなく、結果を確認し、次の改善や横展開につなげることを重視しています。
6.「何を作ったか」だけでなく「何が変わったか」を測る
専門家が関わった成果を評価するとき、納品物だけを見るのではなく、その先の変化を確認することが重要です。
例えば、理解度、利用率、購買、継続、行動、満足、問い合わせなどです。目的に応じた成果指標を事前に設定しておくことで、専門性が事業へどのような価値を生んだのかを検証しやすくなります。
例)食品メーカーが「健康価値を伝えたい」場合

仮に、ある食品メーカーが「商品の健康価値をもっと伝えたい」と考えていたとします。
そこでいきなり「管理栄養士監修の記事を制作する」と決めてしまうと、記事を作ること自体が目的になりかねません。
まず確認したいのは、生活者がその商品を選ばない理由です。
- 商品の特徴自体が知られていないのか
- 自分に必要な商品だと感じられていないのか
- 健康情報の根拠に不安があるのか
- 使い方や取り入れ方が分からないのか
- 他の商品との違いが伝わっていないのか
課題が変われば、解決策も変わります。
専門家による商品評価が必要かもしれません。生活者へのインタビューが必要かもしれません。商品の利用シーンを再設計する必要があるかもしれません。場合によっては、記事制作そのものが最優先ではない可能性もあります。
だからこそ、専門家活用の前に「何を解くのか」を設計することが重要なのです。
My Landが目指していること
My Landが目指しているのは、病気になったり、困り切ったりしてから専門家を探す社会ではありません。
商品、サービス、店舗、職場、地域、EC、メディアなど、生活者が普段利用している場所の中に食と健康の専門性が自然に存在し、健康な時から必要な知識や選択肢に触れられる社会です。
そのためには、専門家だけで社会を変えようとしても限界があります。一方で企業には、商品、サービス、技術、販売網、ブランド、顧客接点など、すでに多くの社会実装基盤があります。
だからこそMy Landは、企業・専門家・生活者をつなぎ、それぞれが持つ価値を組み合わせたいと考えています。
専門家の仕事を増やすことが最終目的ではありません。企業様の事業が成長し、その事業を通じて生活者のより良い選択や行動が増え、その結果として専門性も適切に評価される。その循環が続く仕組みをつくることが、私たちが考える社会実装です。
まとめ
専門家との共創で重要なのは、「誰に依頼するか」から考え始めないことです。
- 誰のどんな課題を解決したいのかを定義する
- 専門性を監修だけでなく、課題設定や事業設計から取り入れる
- 実施内容ではなく、生活者と事業に生まれた変化を検証する
企業がすでに持っている商品、サービス、顧客接点と専門性を組み合わせれば、新しい健康価値をゼロからつくる必要はないかもしれません。
まずは自社の商品やサービスが、「誰のどんな暮らしの課題を変えられるのか」を問い直すところから、専門家共創は始まります。
食・健康領域の事業づくりからご相談いただけます
My Landでは、管理栄養士をはじめとする専門家の選定だけでなく、生活者課題の整理、健康価値の設計、商品・サービス企画、専門家との共創設計、PoC、実装、検証までご相談いただけます。
「専門家に何を依頼すればよいか決まっていない」「健康を切り口に新しい事業を考えたい」「既存の商品や顧客接点を活かして何かできないか考えたい」といった企画段階からでも構いません。
専門家を起用することからではなく、誰のどんな未来をつくるのか。その課題設定から一緒に考えます。







