コラム

『こんなに良い商品なのに』なぜ選ばれない?健康商品開発で考えたい生活者視点

健康商品を扱う企業ほど、自社の商品に強い想いを持っています。開発までの背景、原料へのこだわり、成分、研究、製造方法。商品を深く知っているからこそ、「これだけ良い商品なのだから、生活者にも価値が伝われば選んでもらえる」と考えるのは自然なことです。

しかし、商品をつくる側が感じている「良さ」と、生活者が商品を選ぶときの「理由」は必ずしも一致しません。むしろ健康商品だからこそ、企業側が商品の価値を知りすぎていることで、生活者との間にズレが生まれることがあります。

本記事では、健康商品の価値を否定するのではなく、その価値を生活者にとっての「選ぶ理由」へ変えるために、商品開発・マーケティングで考えたい視点を整理します。

健康商品ほど「こんなに良い商品なのに」が起きやすい

健康食品、食品、サプリメント、ヘルスケアサービスなどを開発する現場では、商品への理解が深まるほど、その価値に確信を持つようになります。

「この原料にはこんな特徴がある」「ここまで品質にこだわっている」「専門家から見ても良い商品だ」。開発に関わる人ほど、その背景にある情報を知っています。

ところが、生活者が売場やECで商品を見る時間はごく短時間です。企業が数か月、数年かけて理解してきた価値を、生活者が同じように理解しているわけではありません。

ここで起きるのが、「商品の価値がない」のではなく、「作り手が感じている価値と、生活者が選ぶ理由がつながっていない」という問題です。

健康商品開発では、商品そのものを磨くことと同時に、「生活者からはどう見えているのか」を意識的に外から見る必要があります。

「良い商品だから伝えれば売れる」だけでは十分ではない理由

1.企業は、生活者より圧倒的に商品を知っている

商品開発に携わる人にとっては当たり前になっている価値も、初めて商品を見る生活者には伝わっていないことがあります。

原料の希少性、製造工程、成分の特徴、開発背景などを知れば知るほど、「なぜこの良さが伝わらないのだろう」と感じます。しかし、生活者はその前提知識を持っていません。

まず必要なのは、「説明すれば分かってもらえる」という前提ではなく、生活者が現在どのように商品を認識しているのかを確認することです。

2.商品の「良さ」と生活者の「欲しい」は違う

企業が考える良さは、品質、成分、機能、研究、専門性などで語られることが多くあります。

一方、生活者が考えているのは、「自分に必要なのか」「続けられそうか」「おいしいのか」「面倒ではないか」「この価格を払いたいと思うか」といった、自分の生活に近い問いです。

商品の特徴を増やすことより、その特徴が生活者のどんな日常につながるのかを考えることが重要です。

3.健康価値そのものが、購買理由になるとは限らない

健康商品では、「健康に良い」という価値を強く伝えたくなります。しかし生活者は、健康だけを目的に毎日の商品を選んでいるわけではありません。

食品であれば、おいしさ、価格、手軽さ、家族との共有、楽しさなども重要です。健康価値は、それらを犠牲にして選ぶ理由ではなく、生活の中に自然に組み込まれている方が選ばれやすい場合もあります。

4.「もっと伝える」ことが解決策とは限らない

商品が選ばれないと、「商品の良さをもっと説明しよう」「成分の情報を増やそう」と考えがちです。

しかし、本当の課題が「生活者に必要性を感じてもらえていないこと」であれば、情報量を増やしても解決しません。

伝え方を変える前に、そもそも生活者が何を理由に商品を選んでいるのかを確認する必要があります。

5.社内だけで考えるほど、商品の前提から離れにくくなる

商品への理解が深い人同士で議論すると、「この商品の何が良いか」はたくさん出てきます。一方で、「生活者から見たときに本当に必要なのか」という問いは抜けやすくなります。

そこで重要になるのが、生活者の声や、商品開発とは異なる視点を持つ専門家を入れることです。商品を知らない人がどこで疑問を持つのかを見ることで、社内だけでは見えなかった課題が見えてきます。

My Landが考える健康商品開発の本質

My Landでは、健康商品開発で重要なのは、企業の商品への想いを弱めることではないと考えています。

むしろ、その商品だからこそ持っている価値を、企業の中だけに留めず、生活者にとって意味のある価値へ翻訳することが必要です。

そのため、私たちは商品そのものから考える前に、次の3つの価値を整理します。

  • 生活者価値:その商品によって、生活者の何がより良くなるのか
  • 企業価値:選ばれる、続けてもらう、信頼されるなど、事業にどんな成果が生まれるのか
  • 専門家価値:専門性が生活者理解、商品設計、伝え方、検証にどう活かされるのか

この3つが重なる場所をつくることが、健康価値開発だと考えています。

つまり、「良い商品をつくる」から、「良い商品が生活者にとって選ぶ理由になるところまで設計する」へ、商品開発の範囲を広げるということです。

企業側が健康商品を開発する際に考えたいポイント

1.「この商品は良い」という前提を一度外してみる

開発側が商品を好きであることは、大きな強みです。しかし、事業として考えるときには、一度その前提を外してみる必要があります。

初めてこの商品を見る人なら何を感じるのか。競合商品と並んだとき、なぜこちらを選ぶのか。商品を知らない生活者の目線から問い直すことで、本当に伝えるべき価値が見えてきます。

2.商品の特徴ではなく、生活者の課題から始める

「この成分が入っているから、誰に売ろうか」ではなく、「誰のどんな課題を変えたいのか」から考えます。

同じ成分や商品でも、対象となる生活者や利用場面によって必要な価値は変わります。生活者の課題が定まれば、商品のどの特徴を前面に出すべきかも変わってきます。

3.生活者が実際に使う場面まで想像する

「健康に良いから毎日続けてほしい」と考えていても、毎日取り入れるのが面倒であれば続きません。

いつ、どこで、誰が、どのように使うのか。購入後の生活まで具体的に考えることで、おいしさ、容量、パッケージ、使い方、価格など、商品開発で見るべきポイントが増えていきます。

4.生活者に聞くタイミングを商品完成後だけにしない

商品が完成してから「どう思いますか」と聞くと、評価できる範囲は限られます。

企画段階から生活者インタビューや調査を行い、「そもそもこの課題があるのか」「現在どう解決しているのか」「何なら選びたいのか」を確認することで、商品をつくる前に仮説を修正できます。

5.専門家を「商品の正しさを確認する人」にしない

健康商品では、専門家監修が最後の確認工程として入ることがあります。しかし専門家は、本来、生活者の課題を考えたり、商品コンセプトを検討したり、生活者にどう伝わるかを考えたりする段階から参画できます。

専門性を「監修マーク」にするだけではなく、商品そのものをより良くする共創資源として活かすことが重要です。

6.社内評価ではなく、実際の行動を検証する

「良い商品だと思う」「魅力的だと思う」という評価だけでは、実際に選ばれるかは分かりません。購入したか、使ったか、続けたか、再購入したか。その後の行動まで見ることで、企業様が考えていた価値が本当に生活者価値へ変わったのかを確認できます。

こだわりの健康食品を開発した場合

例えば、長い時間をかけて原料を選び、専門家から見ても品質の高い健康食品を開発したとします。企業からすれば、原料の特徴や製造へのこだわりを知っているため、「これだけ良い商品なのだから、きちんと説明すれば選ばれる」と考えるかもしれません。

しかし生活者から見ると、最初に感じる疑問は別かもしれません。

  • 自分に必要なのか
  • 他の商品と何が違うのか
  • いつ取り入れるのか
  • 味はどうなのか
  • 続ける負担はないのか
  • この価格を払う理由があるのか

ここに企業と生活者の認識の差があります。

商品の価値を下げる必要はありません。その価値を起点にしながら、「生活者が自分の生活と結びつけて理解できる状態」へ変えていく必要があります。そして、その仮説を生活者とともに確かめ、商品や伝え方を改善する。その往復によって、企業様の「本当に良い商品」が、生活者にとっての「選びたい商品」に近づいていきます。

My Landが目指していること

My Landが目指しているのは、病気になったり、課題を感じてから専門家を探す社会ではなく、健康な時から食と健康の専門性が暮らしの中に自然に存在する社会です。

そのためには、専門家が生活者に直接「健康情報」を伝えるだけでは十分ではありません。企業がすでに持っている商品、サービス、店舗、職場、EC、メディアなどの日常の接点に専門性が組み込まれることで、より多くの生活者へ届けられると考えています。

そして、そこでは企業の商品への想いも、専門家の知識も、生活者の現実も、どれか一つだけを正解にしてはいけません。

三者をつなぎ、生活者にとって本当に意味のある商品やサービスへ変えていく。そして、その価値が企業様の事業成果にもつながる仕組みをつくる。それが、My Landが取り組みたい健康価値の社会実装です。

まとめ

健康商品を扱う企業が、自社の商品に惚れ込むことは決して悪いことではありません。その強い想いがあるからこそ、良い商品が生まれます。一方で、商品を深く知っている企業と、初めて商品を見る生活者では、見えているものが違います。

だからこそ、「こんなに良い商品なのだから選ばれるはず」と考えたときほど、一度生活者側へ立って問い直すことが重要です。

この商品の何が良いのかではなく、「生活者は、なぜこの商品を選ぶのか」。

この問いを商品開発の中に持つことが、健康価値を「企業様が伝えたい価値」から「生活者が選びたい価値」へ変えていく第一歩だと考えています。

健康価値を「選ばれる理由」へ変えるところからご相談いただけます

My Landでは、完成した商品の監修や専門家選定だけではなく、生活者課題の整理、健康価値の発掘、商品・サービス企画、専門家との共創、生活者調査、PoC、成果検証まで、食・健康領域の事業づくりをご一緒しています。

「商品には自信があるが、なぜ思うように選ばれないのか分からない」「自社では商品の良さを分かっているからこそ、生活者からどう見えているのか知りたい」といった段階からでもご相談いただけます。

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