なぜMy Landは「管理栄養士のキャスティング会社」で終わらないのか

「管理栄養士を紹介してもらえますか?」
My Landにも、企業様からこうしたご相談をいただくことがあります。
もちろん、案件に応じて管理栄養士をはじめとした専門家の選定やアサインを行うことはあります。しかし、My Landは「条件に合う専門家を探して紹介すること」を事業の中心には置いていません。
それは、キャスティングそのものを否定しているからではありません。むしろ、専門家を紹介するだけでは、専門性が企業様の事業価値や生活者の価値につながらないことがあると考えているからです。
そしてもう一つ、私自身が管理栄養士として、「管理栄養士の社会的地位を上げたい」と考え続けてきたからこそ、単純に仕事を増やすだけでは変えられないものがあると感じています。
今回は、なぜMy Landが「管理栄養士や専門家を紹介する会社」という形だけにとどまらず、企業と専門家が一緒に課題を考える事業づくりにこだわっているのか。その背景にある考えを書きたいと思います。
「管理栄養士の仕事が増えること」と「社会での役割が変わること」は違う
私は以前から、「管理栄養士の社会的地位を上げたい」と考えてきました。
では、社会的地位が上がるとは、具体的にどのような状態なのでしょうか。
- 管理栄養士向けの仕事が増えること
- 報酬が上がること
- 企業から依頼が増えること
- 活躍できる場所が増えること
もちろん、どれも大切です。
しかし、仮に仕事の数だけが10倍になったとしても、そのほとんどが「決められた内容の記事を書く」「指定されたレシピをつくる」「監修者として名前を載せる」という役割だったら、社会から見た管理栄養士の位置づけは本当に変わったと言えるでしょうか。
私は、そこにずっと違和感がありました。
仕事の量が増えるだけではなく、「管理栄養士とは、食と健康の観点から課題を一緒に考えられる専門家だ」と社会から認識されること。
そこまで変わって初めて、管理栄養士をはじめとした専門職の社会での役割そのものが変わっていくのではないかと考えています。
だからMy Landは「専門家を探す会社」だけにはしたくなかった
専門家ネットワークをつくり、企業から条件を伺い、その条件に合う専門家を紹介する。
サービスとして考えれば、とても分かりやすいモデルです。
「登録している管理栄養士は何名です」「この領域を経験した人を紹介できます」「全国で対応できます」と伝えれば、企業にとっても比較しやすくなります。
実際、My Landにも専門家ネットワークがあり、必要に応じてキャスティングを行います。
それでも、My Landがキャスティングだけを事業の中心に置いていない理由があります。
専門家を紹介することと、専門性が事業の中で機能することは、同じではないからです。
例えば、企業様から「管理栄養士に商品を監修してもらいたい」と相談されたとします。
キャスティングという視点だけで考えれば、「どの領域に詳しい管理栄養士が必要か」「いつまでに対応できるか」「予算はいくらか」を確認し、条件に合う人を探すことになります。
しかしMy Landでは、その前に考えたいことがあります。
- なぜ、その商品に監修が必要なのか
- 企業は、その商品を通じて誰のどんな課題を変えたいのか
- 生活者は今、どこで困っているのか
- 専門家が入ることで、商品の何を変えたいのか
- 監修という方法が、本当に最適なのか
場合によっては、完成後に監修を行うより、商品企画の段階から専門家が入った方がよいかもしれません。
また、管理栄養士だけではなく、研究者、医療職、生活者、クリエイターなど、別の視点を組み合わせた方がよい場合もあります。
「誰を紹介するか」より先に、「この課題を解くには、どんな専門性が、どこで必要なのか」を考える。
My Landがこだわっているのは、この順番です。
キャスティングはMy Landの機能の一つですが、価値そのものではありません
企業から見ると、My Landも「管理栄養士や専門家のキャスティング会社」と比較されることがあります。
ただ、私たちが企業様に提供したい価値は、候補者の人数や紹介スピードだけではありません。
My Landが考えているのは、
- 企業が本当に解決したい課題は何か
- その背景にどのような生活者課題があるのか
- 専門性をどの段階で取り入れると価値になるのか
- どの専門家・企業・生活者を組み合わせるべきか
- 専門性を商品やサービスへどう実装するのか
- その結果をどのように検証するのか
という部分です。
つまり、キャスティングが「条件に合う人を見つけること」だとすれば、My Landが目指しているのは、「その専門性が事業の中でどのように機能すれば価値になるのか」を設計することです。

だからこそ、専門家を探している企業様だけではなく、「専門家と何をすればよいか分からない」「健康をテーマにした事業を考えたいが、どこから始めればよいか分からない」「商品に健康価値を付けたいが、単なる監修表示にはしたくない」といった段階からご相談いただくことにも意味があると考えています。
専門家ネットワークの価値を「登録人数」だけで測りたくない
専門家ネットワークを持つサービスでは、登録人数は一つの分かりやすい指標です。もちろん、さまざまな専門性を持つ人とつながっていることは重要です。
しかし、My Landでは「何人登録しているか」だけをネットワークの価値にしたくありません。
なぜなら、同じ管理栄養士という資格を持っていても、経験、得意分野、生活者を見る視点、企画力、コミュニケーション力、事業への理解は一人ひとり異なるからです。
また、企業側が必要としているものも、案件ごとに違います。「栄養学に詳しい人」であれば誰でもよいわけではありません。
企業側の目的を理解し、生活者の課題を捉え、自分の専門性をその課題に合わせて翻訳し、必要であれば提案できる。
My Landが企業様と一緒に仕事をする専門家に求めたいのは、そうした姿勢です。
そのためMy Landでは、専門家が単に案件を待つのではなく、社会課題を知り、考え、提案し、実践し、振り返る機会をつくることにも力を入れています。
これは専門家のためだけに行っていることではありません。
企業様が専門家と出会ったときに、単なる「作業をお願いできる人」ではなく、「一緒に考えられる人」と出会える可能性を高めるためでもあります。
「専門家を紹介して終わり」にしないのは、企業にも課題が残るから
専門家を紹介し、契約が成立した段階で役割が終わる。それも一つのサービスの形です。
ただ、その後に企業様側へ「では、この専門家と何をどう進めればいいのか」という課題が残ることがあります。
例えば、商品開発に管理栄養士を入れたとしても、
- どの会議から参加してもらうのか
- 何を判断してもらうのか
- 生活者の声とどう組み合わせるのか
- どの時点で評価するのか
- 何を成果として検証するのか
まで決まっていなければ、せっかく専門家がいても、その専門性を十分に活かせないことがあります。
その結果、「専門家に入ってもらったけれど、思ったほど違いが分からなかった」ということにもなりかねません。
だからMy Landでは、人を選ぶことと同じくらい、専門家がどんな役割で、どこに、どう参画するかを設計することを大切にしています。

専門家を「人員」にしたくないという、My Land自身のこだわり
もう一つ、これはMy Land自身の事業づくりに対するこだわりでもあります。
私は自分自身も管理栄養士です。だからこそ、専門家を「必要な人数をそろえる人員」や「指定された作業を行う人」として扱う仕事だけにはしたくないと思っています。
企業様にも、「管理栄養士だからこの作業をお願いする」ではなく、「この課題を考えるために、管理栄養士の視点が必要だ」「この商品をより良くするために、専門家と一緒に考えたい」と思っていただける関係を増やしたい。
しかし、それを企業だけに求めるつもりもありません。
専門家側も「専門家として扱ってください」と言うのであれば、それに応えられる存在になっていく必要があります。
資格や知識だけではなく、相手の課題を理解する。事業を知る。生活者を見る。自分の専門性を相手に伝わる形へ変換する。そして、ときには「こちらの方法の方がよいのではないでしょうか」と提案する。
企業と専門家の両方が少しずつ変わることで、初めて新しい共創の形が生まれると考えています。
My Landがつくりたいのは「専門家を探す市場」ではありません
「管理栄養士の社会的地位を上げたい」と考えたとき、専門家向けの仕事をたくさん集めるという方法もあります。
しかし、My Landが本当に増やしたいのは「管理栄養士向けと書かれた仕事」ではありません。
これまで管理栄養士や食と健康の専門家が必要だと思われていなかった場所に、「ここにも専門性があると、もっと良くなるのではないか」という新しい需要をつくることです。
例えば、商品開発、サービス開発、店舗、売場、EC、職場、地域、子育て、教育、メディア。生活者が日常的に接している場所には、まだ専門性を活かせる余地が数多くあります。
そのとき企業が「管理栄養士に何を発注しようか」ではなく、「この課題を解くために、食と健康の専門性をどう取り入れられるだろう」
と考えるようになる。
私たちがつくりたいのは、そのような市場です。
「管理栄養士の社会的地位を上げる」の先にあるもの
私が目指しているのは、管理栄養士という資格そのものを高く評価してもらうことだけではありません。専門性が社会の中で実際に役立ち、その結果として、専門家に求められる役割や評価が変わっていくことです。
だから、順番としては「評価してください」が先ではないと思っています。
まず、これまで専門性が入っていなかった場所で新しい価値を生み出す。企業と一緒に課題を考え、生活者の声を聞き、専門性を実装し、結果を確かめる。
そうした事例が社会の中に増えていけば「こんな場面でも管理栄養士と一緒に考えられるんだ」「この事業には食と健康の専門性が必要だ」
という認識が少しずつ広がっていくはずです。
その結果として仕事が生まれ、専門家の評価が変わり、報酬も変わっていく。My Landが考えている「社会的地位を上げる」とは、そんな変化です。
My Landが目指していること
My Landが変えたいのは、病気になったり、困り切ったりしてからでなければ、食と健康の専門性に出会えない社会です。
商品、サービス、職場、店舗、地域、EC、子育て、メディアなど、生活者が普段過ごしている場所に、専門家の知恵が自然に存在する状態をつくりたいと考えています。
そのためには、専門家を必要なときに紹介するだけでは足りません。
企業が持つ商品、サービス、技術、ブランド、販売網、顧客接点と、専門家が持つ知識や経験、そして生活者が実際に抱えている課題をつなぐ必要があります。
キャスティングはMy Landの機能の一つですが、My Landが生み出したい価値そのものではありません。
私たちが目指しているのは、企業・専門家・生活者が課題を中心につながり、専門性が事業や暮らしの中で実際に機能する状態をつくることです。
そして、その積み重ねによって、食と健康の専門性が暮らしの中に自然にある社会へ近づいていきたいと考えています。

まとめ
My Landが「管理栄養士や専門家を紹介する会社」という形だけにとどまらないのは、専門家の人数や紹介件数を増やすことが最終目的ではないからです。
- 専門家を紹介する前に、企業や生活者が抱える課題を考える
- 専門家を人員ではなく、課題を一緒に考える共創者として捉える
- 専門性が事業の中で機能するところまで役割を設計する
- 既存の仕事を分配するだけでなく、専門性が必要とされる新しい場所をつくる
企業にとっても、「どの管理栄養士を紹介してもらうか」だけではなく、「自社の課題に、食と健康の専門性をどう活かせるのか」を考えることが、専門家との共創の第一歩になるのではないでしょうか。
「誰に頼むか」の前に、「何を変えたいか」からご相談いただけます
My Landでは、管理栄養士や専門家のキャスティングだけでなく、「そもそも自社のどこに専門性を取り入れられるのか」「健康という視点から新しい商品やサービスを考えたい」といった段階からご相談いただけます。
依頼内容が固まっていなくても構いません。
企業が持つ商品・サービス・技術・顧客接点と、専門家の知見、生活者の課題をつなぎながら、どのような価値を生み出せるのかを一緒に考えます。







