専門家監修を「お墨付き」で終わらせない健康価値のつくり方

健康配慮型の商品を開発しても、その価値を生活者へどう伝えるかで悩む企業様は少なくありません。「低糖質」「高たんぱく」「栄養に配慮」といった特徴があっても、機能を強く訴求するだけでは、生活者にとっての価値が伝わらなかったり、健康に関する表現が過度になったりする可能性があります。
では、専門家の監修やコメントを取り入れるとき、単なる「お墨付き」で終わらせず、商品の価値や生活者の選択につなげるには何が必要なのでしょうか。本記事では、低糖質焼き菓子の商品監修・情報発信支援の取り組みから見えた、専門性を「健康価値」に変え、商品・ブランドへ実装するための考え方を整理します。
健康配慮型商品の価値訴求で企業様がつまずきやすいポイント
商品の特徴をそのまま伝えてしまう
「糖質が少ない」「特定の栄養素を含んでいる」といった商品特徴は重要な情報です。一方、それだけでは生活者にとって「自分にどのような関係がある商品なのか」まで理解できるとは限りません。
商品スペックを説明することと、生活者価値を伝えることは別です。商品の特徴を、どのような生活者の、どのような場面に役立つ選択肢なのかまで整理して初めて、健康価値が具体化していきます。
専門家の名前を掲載すること自体が目的になる
管理栄養士や医療・健康分野の専門家が監修していることは、情報発信における1つの要素です。しかし、「管理栄養士監修」という表示を付けるだけでは、その専門性が商品価値につながっているとはいえません。
何を確認したのか、どのような視点が加わったのか、専門家の知見によって何が整理されたのか。そのプロセスまで設計することが重要です。
商品の魅力と正確な健康情報の両立が難しい
商品の良さを伝えようとすると、表現を強くしたくなることがあります。一方、食や健康に関する情報では、根拠から読み取れる範囲を超えた表現や、誰にでも同じ効果が得られるように受け取られる表現には注意が必要です。
消費者庁でも、食品の健康保持増進効果等について虚偽・誇大な表示を禁止しており、インターネット上の健康食品等の表示について継続的な監視・改善指導を行っています。商品訴求を考える際には、「売るための言葉」と「専門的に適切な表現」を別々に考えるのではなく、両立する設計が求められます。
商品と情報発信が別々に設計されている
商品ページ、ECサイト、ブログ、SNS、販促物など、生活者はさまざまな接点から商品を知ります。それぞれで発信する健康情報にばらつきがあると、ブランド全体として何を伝えたいのかが分かりにくくなります。
専門家の知見を1本の記事の監修だけに使うのではなく、商品の価値をどの接点で、どのように伝えるのかまで考えることで、専門性をブランドづくりにも活かしやすくなります。
なぜ「専門家監修」だけでは十分ではないのか
専門家に参画してもらえば、自動的に商品価値が高まるわけではありません。重要なのは、専門家を起用することではなく、「何のために専門性を取り入れるのか」を先に設計することです。
例えば、同じ管理栄養士監修でも目的によって必要な役割は変わります。
- 健康・栄養情報の正確性を確認したい
- 商品の特徴を生活者視点で整理したい
- 商品開発の段階から専門的な視点を取り入れたい
- 生活者に伝わる訴求軸をつくりたい
- 専門家による商品評価や調査をマーケティングへ活かしたい
- 継続的なコンテンツ発信の品質を担保したい
この目的が曖昧なまま「監修コメントをください」と依頼すると、完成したコメントを掲載して終了し、その先の事業成果につながらないことがあります。
専門性を事業へ取り入れる場合は、まず「誰のどんな課題を解決したいのか」「商品のどの価値を明確にしたいのか」「専門家の知見を最終的にどこで活用するのか」を整理する必要があります。
実際の取り組みから見えたこと
My Landでは、低糖質焼き菓子を展開するKETO-BAKE様から、商品の専門性や信頼性を高め、健康意識の高い生活者へ魅力を分かりやすく伝えるための相談を受けました。
クライアントは商品販売だけでなく、ケトジェニックや食生活に関する情報をブログでも発信していました。そのため、単に商品へ管理栄養士のコメントを追加するだけではなく、商品価値と情報発信の両方へ専門性をどう取り入れるかを整理しました。
具体的には、低糖質という特徴だけを強調するのではなく、「食生活に配慮しながらお菓子を楽しみたい方にとって、どのような選択肢となり得るのか」という生活者視点から商品の価値を整理しました。
そのうえで、管理栄養士が商品特徴を確認し、専門家としての推奨コメントを作成。ブログ記事についても、栄養・健康情報の根拠や説明の正確性、読者に与える印象を確認しました。
特に重視したのは、専門的な正しさだけでも、販売訴求だけでもないことです。クライアントが伝えたい商品の魅力を尊重しながら、根拠から読み取れる範囲と、生活者が理解しやすい表現の両方を検討しました。
その結果、商品特徴、専門家コメント、ブログの健康情報をそれぞれ独立したものとして扱うのではなく、生活者が商品を理解し、選択するための一連の情報として整理できる体制につながりました。
この取り組みから考えたいポイント
1.商品特徴ではなく「生活者価値」まで言語化する
健康配慮型商品では、成分や栄養価などの商品スペックが訴求の中心になりやすい傾向があります。しかし、生活者が知りたいのは数字だけではありません。
「自分の生活のどこに取り入れられるのか」「これまでの選択肢と何が違うのか」まで理解できて初めて、商品特徴が生活者価値になります。
そのため専門家には、正誤を確認する役割だけでなく、商品と日常生活との接点を見つける役割も期待できます。
2.専門家は「最後に確認する人」だけではない
商品や広告が完成した後に専門家へ確認を依頼すると、専門家が担える役割はチェックや修正に限定されやすくなります。
一方、商品コンセプト、ターゲット、訴求軸などを検討する段階から専門性を取り入れれば、生活者の課題や食生活との関係を踏まえて商品価値そのものを考えることができます。
専門家を制作工程の最後に配置するのか、事業設計の上流から共創するのか。この違いによって、専門性から生まれる価値は大きく変わります。
3.「正しい情報」と「伝わる情報」を分断しない
専門的に正しい文章でも、難しくて読まれなければ生活者には届きません。逆に、理解しやすさやインパクトだけを優先すると、本来の根拠以上の意味として受け取られる可能性があります。
必要なのは、どちらか一方を選ぶことではなく、正確性と伝わりやすさの接点を探すことです。
専門家、マーケティング担当者、制作担当者などがそれぞれ別々に判断するのではなく、「誰に何をどう受け取ってほしいのか」を共有して進めることが重要です。
4.専門家コメントの「その後」まで設計する
専門家コメントを作成する場合も、完成させること自体をゴールにしないことが重要です。
商品ページ、ECサイト、営業資料、SNS、店頭販促、記事コンテンツなど、どこでどのように活用するのかによって、必要な情報や表現は変わります。
専門家に何を依頼するかを考える前に、その成果物を事業のどこで活用するのかを決める。この順番が、専門性を事業価値へつなげるうえで重要になります。
5.監修ではなく「健康価値開発」として考える
食・健康領域の商品では、専門家の役割を監修に限定する必要はありません。
商品開発、生活者調査、PoC、商品評価、コンテンツ設計、顧客体験設計など、事業のさまざまな段階で専門性を取り入れることができます。
商品の完成後に専門家の名前を加えるのではなく、商品が持つ可能性を、生活者にとって意味のある健康価値へ変換するプロセスそのものを設計する。これが、専門家との共創を事業へ活かす1つの考え方です。

自社で検討する際に整理したいこと
健康配慮型商品に専門家の知見を取り入れる場合、いきなり「誰に監修を依頼するか」を考えるのではなく、まず以下を整理してみてください。
- この商品を、誰に届けたいのか
- 生活者のどのような課題や選択を支えたいのか
- 商品の特徴を、どのような生活者価値へ変換したいのか
- 専門家に何を判断・整理・提案してもらいたいのか
- 専門家の知見を商品開発、販促、コンテンツなど、どこで活用するのか
- 専門性を取り入れた結果を何によって評価するのか
- 一度の監修で終わらせず、商品や情報発信の改善につなげられるか
これらを先に整理すると、必要な専門家や依頼内容も見えやすくなります。
My Landが考える専門家との共創
My Landでは、専門家を起用すること自体を目的にはしていません。
最初に考えるのは、「誰のどんな課題を解決し、どんな未来をつくりたいのか」です。そのうえで、企業様の商品・サービス・技術・顧客接点と、管理栄養士をはじめとする専門家の知識、そして生活者のリアルな課題を組み合わせます。
専門家には、正しい情報を確認する役割だけではなく、生活者の視点を持ち込み、商品価値を整理し、新しいサービスや体験を考える役割もあります。
そして、それぞれの専門性が存在するだけでは事業にはなりません。誰が、どの段階で、どのような目的で参画するのか。その知見をどのような成果物や顧客体験へ変換し、どのように検証・改善するのかまで設計する必要があります。
My Landが目指しているのは、企業様・専門家・生活者の3者の価値が重なる仕組みをつくり、食と健康の専門性を暮らしの中へ社会実装することです。
まとめ
健康配慮型商品の価値を伝える際、専門家監修は有効な選択肢の1つです。しかし、重要なのは「専門家が監修した」という事実だけではありません。
1つ目は、商品のスペックを生活者にとっての価値へ変換すること。2つ目は、専門家を最後のチェック担当だけにせず、目的に応じて商品・事業づくりの段階から専門性を取り入れること。3つ目は、作成した専門家コメントや知見をどこで活用し、どのような成果につなげるのかまで設計することです。
健康価値は、商品に最初から完成された形で存在するものとは限りません。企業様が持つ商品や技術と、専門家の知見、生活者の課題を組み合わせることで、新しい価値として見つけ、言語化し、事業へ実装できる可能性があります。
「誰に監修してもらうか」を考える前に、「この商品によって、誰のどんな選択を支えたいのか」から考えることが、健康価値を事業価値へ変えていく第一歩です。
商品の健康価値をどう事業へ取り入れるか、ご相談ください
「健康に配慮した商品だが、何を強みとして伝えるべきか整理できていない」「専門家との取り組みを検討しているが、監修以外に何ができるのか分からない」といった段階からご相談いただけます。
My Landでは、管理栄養士をはじめとする専門家の選定だけでなく、誰にどのような価値を届けるのかという企画整理から、商品・サービス開発、PoC、専門家調査、コンテンツ、顧客体験設計まで、目的に合わせて支援内容を設計します。依頼範囲が固まっていない段階でも問題ありません。
企業様の商品・技術・顧客接点と専門家の知見、生活者の課題を掛け合わせながら、「健康価値を、売れる商品・続くサービス・選ばれるブランドへ。」つなげる方法を一緒に考えます。







