定期購入商品の「続ける理由」をつくる購入後コミュニケーション設計

定期購入型の商品では、「商品を届けること」だけでなく、購入後にどのような関係を築くかが重要になります。特に健康に関わる商品では、毎回同じ商品説明や販促情報を届けるだけでは、生活者にとって情報を受け取る理由をつくりにくくなります。
では、購入後の同梱物やLINEを、単なる販促チャネルではなく「商品を使い続ける日常に価値を届ける接点」へ変えるには、何を設計すればよいのでしょうか。
今回は、育毛剤購入者向けに管理栄養士・鍼灸師の専門性を取り入れた同梱物とLINEコンテンツを企画した取り組みをもとに、定期購入商品における専門家コンテンツの活かし方を考えます。
定期購入商品の購入後コミュニケーションで企業がつまずきやすいポイント

商品説明を繰り返すだけになってしまう
商品の特徴、成分、使い方は、購入者にとって必要な情報です。一方で、購入後も同じ種類の情報だけが続くと、発信できるテーマが限られてきます。
特に継続利用を前提とした商品では、「次に何を伝えるか」が課題になります。商品そのものだけを情報発信の起点にすると、コミュニケーションの幅を広げにくくなるためです。
LINEを開設しても、継続して届ける内容が決まらない
公式LINEを新たな顧客接点として設けても、登録後に何を配信するかまで決まっていなければ、継続的な関係づくりにはつながりません。
重要なのは「LINEを始めること」ではなく、生活者が「この情報なら今後も受け取りたい」と感じられるテーマを持つことです。媒体を増やす前に、届ける価値そのものを設計する必要があります。
商品と健康情報を無理に結びつけてしまう
健康に関わる商品だからといって、商品と特定の食品や栄養素を安易に結びつければよいわけではありません。
「これを食べれば〇〇になる」といった単純な伝え方は、生活者に誤解を与える可能性があります。また、商品の価値を強調したいあまり、健康情報として過度な表現になってしまうことにも注意が必要です。
専門家の監修が「確認作業」で終わってしまう
健康コンテンツでは専門家監修が付くことがあります。しかし、完成した原稿を最後に確認してもらうだけでは、専門家の知見を十分に活かせない場合があります。
どんなテーマなら生活者の役に立つのか、専門情報を日常生活へどう落とし込むのか。こうした企画段階から専門家が参画することで、単なる正誤確認とは異なる価値を生み出せます。
なぜ「商品を伝える」だけでは十分ではないのか
購入前のコミュニケーションでは、「なぜこの商品を選ぶのか」が重要です。一方、購入後には別の問いが生まれます。
それは、「この商品が存在する生活を、生活者にとってどう価値あるものにしていくか」です。
定期購入商品では、購入をゴールとして考えると、購入後の接点が発送通知や販促案内に偏りがちです。しかし生活者は、商品だけを中心に暮らしているわけではありません。
食事をし、働き、休み、家族と過ごし、その中の一部として商品を使用しています。
だからこそ購入後コミュニケーションでは、商品から考えるだけでなく、商品を利用する人の暮らしから考える視点が重要です。
- 誰がこの商品を使っているのか
- その人は日常生活で何を気にしているのか
- 商品を使う前後には、どのような生活行動があるのか
- 企業様だからこそ届けられる価値は何か
- 外部の専門性を加えることで、どんな価値を増やせるのか
このように考えることで、商品説明以外にも、生活者との接点をつくるテーマが見えてきます。
実際の取り組みから見えたこと
ホソカワミクロン株式会社様が展開する育毛剤「薬用ナノインパクト8」は、継続して使用する商品です。クライアントでは、商品発送時の同梱物に加え、公式LINEを新たな顧客接点として活用し、購入後も継続的に情報を届けることを検討されていました。
そこでMy Landでは、「育毛剤について何を書くか」からスタートするのではなく、「商品を利用している人の日常に、どのような情報があれば役立つのか」という視点からコンテンツを設計しました。
管理栄養士と鍼灸師の専門性を取り入れ、食事や生活習慣など、日々の暮らしの中で健康を意識するきっかけとなるテーマを検討。同梱物と公式LINEでは、それぞれ情報に触れる場面が異なるため、媒体ごとに情報量や伝え方も変えています。
同梱物では、商品が届き、比較的情報へ意識を向けやすいタイミングを活かして少し詳しく伝える。一方、LINEでは日常生活の中で短時間でも読める内容として継続的に届ける。それぞれの媒体に役割を持たせました。
また、専門家の役割は原稿を書くことだけではありません。商品と食事を無理に結びつけず、専門的な情報を生活者が取り入れやすい内容へ整理し、断定的になりすぎない表現に調整することも重要な役割となりました。
この取り組みから考えたいポイント

1.商品ではなく「商品を使う人の生活」からテーマを考える
健康情報を活用するとき、商品と健康を直接結びつけようとすると、発信できる内容は狭くなります。
一方で、「この商品を利用している人はどんな生活をしているのか」と考えると、テーマは広がります。食事、睡眠、運動、休養、セルフケアなど、商品そのものとは少し距離があっても、生活者にとって意味のある接点を見つけられるからです。
重要なのは、関連情報を増やすことではありません。対象となる生活者の課題や関心から逆算することです。
2.専門家には「正しい情報」だけでなく「生活への翻訳」を期待する
専門家が持つ価値は、専門知識を知っていることだけではありません。
専門的な情報を、生活者が理解できる言葉へ変える。さらに、「では今日からどうすればよいのか」まで落とし込む。この翻訳によって、情報は初めて日常生活の中で使えるものになります。
そのため、専門家との共創では「原稿を監修してください」だけではなく、「生活者へどう伝えるべきか」まで一緒に考えられる設計が重要です。
3.媒体ごとに役割を決める
同じコンテンツを、紙、LINE、メールマガジン、SNSへそのまま転用しても、それぞれの媒体の特性を十分に活かせるとは限りません。
例えば、商品同梱物は商品が届いたタイミングで接触できる一方、LINEは日常生活の中で継続的に接点を持てます。
それぞれで、読まれる場面、情報量、頻度、次に取ってほしい行動が異なります。コンテンツを作る前に、媒体の役割を整理することが必要です。
4.「売る情報」と「役立つ情報」を分けて考える
購入後のコミュニケーションで、毎回商品の購入を促す必要はありません。
生活者にとって役立つ情報を届けることも、企業様と生活者の関係をつくる一つの方法です。
もちろん、役立つ情報を発信すれば必ず継続率や売上が向上するとは限りません。だからこそ、「販促」と「関係形成」を混同せず、それぞれの目的と指標を設定して検証していく必要があります。
5.コンテンツ制作を単発で終わらせない
1本の記事や1回のLINE配信を作るだけでは、継続的な顧客接点にはなりません。
どのようなテーマを、どの順番で、どの頻度で届けるか。さらに、反応を見ながら何を改善するかまで設計することで、コンテンツは「制作物」から「顧客コミュニケーションの仕組み」へ変わります。
専門家活用も同様です。1回の監修や執筆で終わらせるのではなく、継続的に専門性を取り入れられる仕組みとして考えることが重要です。
自社で検討する際に整理したいこと

購入後の顧客接点に専門家コンテンツを取り入れる場合は、まず次の項目を整理してみてください。
- 商品を購入している生活者は、どのような人か
- その人の日常生活には、どのような課題や関心があるか
- 購入後にどのような関係をつくりたいか
- 商品説明以外に、企業様だから届けられる価値は何か
- どの専門性を取り入れると、生活者への価値を高められるか
- 同梱物、LINE、メールマガジン、SNSなど、それぞれにどんな役割を持たせるか
- 登録率、閲覧、反応、継続利用など、何を成果として検証するか
特に重要なのは、「専門家に何を書いてもらうか」より前に、「生活者にどのような変化をつくりたいか」を決めることです。
My Landが考える専門家との共創
My Landでは、専門家を起用すること自体を目的にはしていません。
最初に考えるのは、「誰のどんな課題を解決し、どんな未来をつくりたいのか」です。そのうえで、必要となる専門性や企業が持つ商品・サービス・顧客接点を組み合わせます。
今回も、「育毛剤に管理栄養士を組み合わせる」という発想だけではありませんでした。
育毛剤を利用する生活者がいる。その人の日常には、食事や生活習慣があります。さらにクライアントには、商品発送という接点とLINEという接点があります。
そこに管理栄養士や鍼灸師の専門性を組み合わせることで、商品購入後にも生活者へ価値を届けられるコミュニケーションを設計しました。
企業の商品・サービス・技術や顧客接点と、専門家の知識、そして生活者のリアルな課題。この3つをつなぐことで、専門性を単なる監修やコンテンツ制作ではなく、事業や顧客体験の中へ取り入れることができます。
My Landは、専門家を紹介するだけではなく、企業・専門家・生活者の関係を設計し、食と健康の専門性が日常の中で機能する仕組みをつくることを目指しています。
まとめ
定期購入商品の購入後コミュニケーションを考える際には、商品情報を増やすことだけではなく、商品を利用する人の生活から情報を設計する視点が重要です。
ポイントは3つあります。1つ目は、商品ではなく生活者からテーマを考えること。2つ目は、専門家を監修者としてだけではなく、専門情報を生活へ翻訳する共創者として捉えること。3つ目は、同梱物やLINEなど、それぞれの顧客接点に役割を持たせ、継続して価値を届ける仕組みとして設計することです。
専門家コンテンツを導入すること自体が成果ではありません。自社の商品を使う生活者に、購入後どのような価値を届けたいのか。まずはそこから整理することが、専門性を事業価値へつなげる出発点になります。
購入後の顧客接点に、食・健康の専門性を取り入れたい企業様へ
「LINEを開設したものの、何を継続して発信すればよいか分からない」「商品購入者に役立つ情報を届けたい」「自社の商品と専門家の知見をどう組み合わせればよいか整理できていない」といった段階からご相談いただけます。
My Landでは、管理栄養士などの専門家選定だけでなく、対象となる生活者の整理、コンテンツテーマの設計、同梱物・LINE・メールマガジン・SNSなどへの展開、継続的な情報発信の設計までご相談いただけます。依頼内容が固まっていない段階でも、商品・サービスと生活者の接点から必要な専門性を一緒に整理します。







